#121 先生たちもオンライン 先生方にインタビューしてみました


 

皆さんこんにちは! あみこです。
いよいよ秋学期が始まりましたね! 皆さんいかがお過ごしでしょうか。

さてさて、今回のテーマは
オンライン授業(先生編)
春学期に急に決まったオンライン授業、学生の皆さんも四苦八苦だったことと思います。
慣れないし、課題多いし、友達とも会えないし……。私も正直疲れました。
そこで思ったのです。「そういえば先生たちはどうだったのかな」と。今回のことは先生たちにも初めてのことだったはず。ということは先生方も同じく大変だったのでは……? と気になりました。

そんなわけで今回は、教授のお2人にオンライン授業についてどう思っていたかなどをインタビューしてみました。

協力してくださったのは

経済学部経営学科 杉本徹雄先生
総合人間科学部教育学科 上野正道先生

です。お忙しい中、学生のことを思って引き受けてくださいました! 本当にありがとうございました。

杉本先生はメールで、上野先生はZoomにて取材に応じていただきました。
先生方の思いを感じつつ、楽しんでいただけたら幸いです。

それではどうぞ!



杉本先生にインタビュー!

2020年1月の杉本先生ゼミ現役OBOG懇親会の際のお写真です。少し小さいですが、先生を探してみてください。

――オンライン授業をした上で、全体的な感想をお願いします。
 学生の皆さんにとっても春学期はコロナ禍で生活スタイルが激変し、心身ともに大変だったことと思います。私自身は、在職中に何らかの形でオンライン授業を行うなどまったく想定もしていませんでした。試行錯誤、四苦八苦しながらの春学期でした。1年次生対象の授業は担当しておりませんが、上智では学生も教員も、それぞれに緊張感をもって臨んだことが結果的にはよい成果を生んだのではないかと考えています。

――始まる前に危惧していたことはありますか。それがその後どうなったかも含めてお聞かせください。
 はじめてのZoom操作に直面し、授業で学生の皆さんに迷惑をかけることなく使えるかとても心配しました。授業中、Zoomの操作がわからなかったとき、チャットで親切に教えてくれる学生がいたのはとても有難く嬉しかったです。感謝しています。

――逆に、期待していたことはありますか。先程同様、結果も含めて教えてください。
 少なくともこれまでと同じ教育水準を何とか維持したいという思いだけでした。ゼミでは、4年生が毎年、外部の論文コンクールなどにチャレンジしています。今年も、日本マーケティング・プロモーショナル学会の研究助成(学部学生の部)に応募し、無事、採択されました。研究テーマは「ポストコロナ時代に向けてのマーケティング提案-若者が期待するライフスタイルからの考察-」です。対面での議論や検討ができない中、対外的にも評価されるような研究計画をグループで一から練り上げるのは至難でした。年明けに内容豊かな論文が提出できるよう、ゼミ生とともに全力を尽くしたいと思います。

↑4年生の研究助成に採択された資料の一部だそうです。

――トラブルは何かありましたか。
 期限を過ぎたレポートやリアクションペーパーの提出では、未提出や提出の遅れについて、その理由が正当か確認できない場合の対応に苦慮しました。課題が多いことへの批判が多くあがっているようですが、大方の受講者は通常授業よりも水準の高い提出物に仕上がっていたのは何よりでした。一部の学生かもしれませんが、勉学よりも課外活動優先、アルバイトのシフトを優先するといったコロナ以前に定着していた大学生のライフスタイルを見直すべき側面もあるのではないかと感じています。

――工夫したことなどあれば教えていただきたいです。
 大人数の授業では、オンラインが不調でも教科書と配付資料を読みこめば理解できるように工夫したつもりです。もっとも、試験終了後にZoom授業と配付資料で理解できるのに教科書をなぜ買わせたのかというお叱りをいただきましたが。
 ゼミ3年生は20名いますが、「ケースで学ぶマーケティング」というテキストを使用しました。ゼミ生を4~5グループに毎回ランダムにわけ、各章に該当する企業やブランドを選んでプレゼンしてもらいました。一か八かで進めたゼミでしたが、例年以上にとても高い水準のプレゼンが数多くあり、驚きまし

――来学期に向けての思いを教えてください。
コロナ禍以前の授業よりも遙かに熱心に書かれたリアクションペーパーやよく考え抜かれたレポートを読み、ハっとさせられたことが幾度となくありました。私自身がこの年齢になってはじめて気づき、教えられることも多かったです。(専任)教員としての定年が迫ってきていますが、悔いが残らないように秋学期以降の授業に臨みたいと思います。

――学生にメッセージをお願いします。
 大学の教壇に立つようになってから35年が過ぎています。春学期の皆さんは、私の経験を含めて、戦後の大学生では間違いなくもっともよく勉強した世代(時期)だといえます。オンライン授業は大変だったとは思いますが、その分、学んだことも多かったのではないでしょうか。私たちは時代の大きな転換期にいます。不安も尽きないでしょうが、自信をもって社会に大きく羽ばたかれることを楽しみにしています。


上野先生にインタビュー!

――本日はよろしくお願いします。さっそくですが、まずオンライン授業の全体的な感想を教えてください。
 学期が始まる前に心配していたよりも、楽しく充実してできたように思います。オンラインでも、かなり効果的な学習ができるんだと(笑)。私の専門が教育学で、もともと教育方法や学習論に関心があるというのも影響しているかもしれません。私は機械の扱いについては得意な方ではないんですが、学習方法やカリキュラムも研究対象にはなるので、その点ではICTの活用なども興味はあります。ただ、理系科目で実験が必要なものや、体育のような体を動かす科目では、オンライン授業は難しいでしょうね。
 私が春学期に担当した科目は、「学校教育学Ⅰ」という受講生250名ほどの講義科目と、3、4年生の演習、あとは大学院の授業でした。実技系の科目ではないので、オンラインでもかなりいろんなことができるんだという実感はありました。

 教員の側からしても、何せオンライン授業への切り替えが急に決まったじゃないですか。当初、3月初めに卒業式の中止が発表され、謝恩会もなくなりましたが、そのころはまだ4月からの新年度は授業も通常通りかと思っていたんです(笑)。少なくとも、2月、3月中旬くらいまでは。でも3月後半にオリンピックが延期になり、感染拡大の「重大局面」とされ、大学や教育機関も急速に対応が求められることなった。なので3月、4月のことを思うと、春学期は、学生も教員も「よく乗り切ったな」と。秋学期に向けて、改善の余地はいくらでもあると思いますけどね。

――今回のことは先生方にとっても想定外の経験だったかと思います。オンライン授業が始まる前、危惧していたことはありますか。
 ほとんどの大学教員にとって、すべての担当科目を1学期間すべてオンラインで授業するというのは、はじめての経験になるかと思います。「どうやってやるのか」という思いと、「やらざるを得ない」という思いの両方で葛藤があったように思います。
 まず、システム上の問題がありました。Moodleの容量が不足するのではという接続の安定性の懸念や、セキュリティは大丈夫なのか、個人情報の問題はどうか、など。私の方では幸い、大きなトラブルはなく済みましたが、こういった課題は秋学期もしっかり対応していく必要があるように思います。
 次には、「どういう授業にしよう」というのがありました。ゼミはオンラインでも、Zoomでグループディスカッションを導入するなど、比較的すぐにイメージができたのですが、「学校教育学Ⅰ」の方は、今年はゼロから講義資料をつくり直しました。昨年まではプリントの資料で、それも毎年少しずつ変更したり、修正したりするんですが、今年はすべてPowerPointに変えて作り直しました。PowerPointの資料を作って、オンデマンドの動画を作成するのに、毎週、7、8時間かけて、さらに授業の配信の後に、受講生全員のリアクションペーパーを読むのは、かなり大変でした。
 あとは、上智だけの話ではないですが学期の途中から、多くの学生が過度の課題に追われて大変だという声が増えてきて、その点も気にかけました。
 また、留学生の対応についても心配でした。日本に入国できずに、海外から受講している留学生が何人もいるので。危惧していたのは、中国をはじめ国外のネット環境と、それから教科書が手に入らないことです。海外に発送するにしても、緊急事態宣言下で郵便にすごく時間がかかる。これは一般の本の郵送の話ですが、3月にイギリスから発送したものが、日本に届くのに4か月もかかりましたから。

――先ほどは心配なさっていたことについてでしたが、逆に期待していたことはありますか。
 春学期は十分には活用しきれませんでしたが、オンラインの場合キャンパスに来なくてもできるので、海外との交流とか、遠方にいる方をゲストとしてつなぐとか、そういう交流は増やしたいですね。現地に行かなくてもできるし、また相手の方に東京まで来てもらわなくてもできる。
 大学院のゼミでは、イギリスの高校生とつなげて、シティズンシップ教育についてディスカッションしましたが、そういう点ではいろいろな可能性は広がるかなと思います。時差があるので、時間の調節はしないといけないですが、ゲストスピーカーは呼びやすい。秋学期も、そうした要望があれば増やしていきたいです。
 最初にも言いましたが、私自身はそんなに機械の扱いは得意ではないんですね。きっと皆さんたち学生の方が得意ですよね。だから、そういう意味では、私の方が教えてもらいたいというのはあります。オンライン授業の導入は、教員の側で選んで始めたことではなく、緊急事態の中で、そうせざるを得ない形ではじまったことでした。大学全体でオンライン授業になるなんて考えたこともなかったですから。本当に未知のことなんですが、それでもせっかくの機会だからやれることをやってみようとか、楽しんでみようとか、割と前向きに取り組めました。
 また、ゼミや大学院では、学生とゆっくり自由に話す時間もある程度できたように思います。キャンパスですと、次から次へと授業や会議、来客の時間で埋まってしまうのですが、オンラインだと自由にアポイントの時間が設定できてよかったです。また、大人数の授業でも、例年より多く質問や意見が出たように思います。その点では、直接対面で顔は見ることができなくても、授業へのモチベーションは下がらずに済みました。

――それでは、トラブルは何かありましたか。
 学生から、課題や時間についての相談は何件かありました。当初の予定では、オンデマンドの動画視聴に40~50分、文献のリーディングに30分、400字から600字のリアクション課題を書くのに20分くらいで考えていて、リアクション課題の提出に3日の猶予をとっていたんです。ですが受講生から、動画を何度もリピートして見直したり、映像をとめてノートに書くので、40分や50分では終わらないという相談が寄せられました。教室での授業なら50分の講義は50分でしかないですが、オンデマンドの動画配信の場合は何度もリピートしたり動画をとめたり、受講生の授業の受け方次第で3倍も4倍も時間が必要というんです。
 春学期は5月25日から2か月しか授業がなかったので、期間中に大きな変更はできませんでしたが、動画を少し短くしたり、リアクション課題の提出も次の週の授業前までに延長したりして対応することにしました。受講生もほかの授業でも課題に追われて大変だったと聞きますが、7月に入ってからは提出締切のぎりぎりに出す学生が増えました(笑)。

 でも、「学校教育学Ⅰ」の授業では、250名の受講生がいたのに、途中で脱落する学生が少なくて、例年よりも出席率がよかった!!! オンデマンドでいつでも視聴できるというのはありますが、ほとんど欠席者がいなかったです。毎回、リアクション課題を出していいますが、ほとんどの学生がすべての課題を提出しているという……。過去の授業では、あまり例がないほど、奇跡的なことでした。対面でもそうなってほしいなと思います。
 一方で、オンデマンドの動画配信では、受講生の顔を見ることができなかったり、受講生とのインタラクティブな形にしたりはできないので、その点のフォローは課題ですね。

――工夫したことなどあれば教えていただきたいです。
 受講生が授業にしっかり参加して学んでいるという感覚や、それから学生同士で交流できるディスカッションの時間はしっかり確保したいと思っていました。特にゼミや大学院の授業では、Zoomのブレイクアウトセッションを使って、20分~30分のグループディスカッションの時間を必ず入れました。とにかく、学びの質を低下させないようにと。キャンパスが使えない以上完全ではないにしても、可能な限りのクオリティを維持するように心がけました。
 それでも、オンライン授業の学習効果というのは、簡単にはわからないですね。今学んでいることが、どういう形で効果として現れるかというのは今すぐにではなくて、半年後だったり、1年後だったり、もしかしたら5年後、10年後に現れるかもしれない。この期間限定で言えば、受講生からの質問が増えたりとか、リアクション課題の提出率もよかったりとか、一見肯定的に捉えられる要素はたくさんありますが、今後それが学生たちのどういう力になっていくかはまだまだわからないです。
 そういう視点で言うと、オンラインで授業はできたかもしれないけれども、大学生活というのはもちろん授業だけではないわけで、さまざまな活動やイベントも中止や延期を余儀なくされました。秋学期もそうですが、種々の活動にも制限があったり、規模が縮小されたりする。また、大学の外にもいろんな学びの場や経験できることはあるはずですが、そういうのも実施が難しいものもある。だから、そういうことも含めて、今後、どのようにしていくのかを考えていく必要があると思います。
 もう1つ、オンデマンドの動画配信に際して、気を付けたこととして、映像や画像の著作権の問題やセキュリティの問題があります。学校教育学なので、例年は教室や子どもが映っている画像や映像を使うんですが、春学期は使用をだいぶ控えました。おかげで、いつもより抽象的な内容になりがちだったかもしれません。

――来学期もオンライン授業になると知った時の率直な感想を教えてください。
 「秋学期もか……」という気持ちと、「もっと工夫してみたい」という前向きな気持ちと両方です。小、中、高校生は学校に通っているので、大学生だけオンラインで心苦しいですが、上智も一部の科目はキャンパスで開講される授業もあり、その意味では、状況が落ち着いて、キャンパスでできるようになるといいなと思っています。

――来学期に向けての思いを教えてください。
 先ほども言いましたが、海外や遠方にいる方たちとの交流など、オンラインだからこそできることもあるので、いろいろなことをチャンスと思って積極的に取り入れていきたいです。学生の方からも、「こういうことができますよ」とか、「こういうことをやってみたい」というのを言っていただければ、できる範囲で挑戦したいです。
 秋学期の講義の「学校教育学Ⅱ」も、今度はオンデマンドの動画配信ではなく、リアルタイムの授業にするので、グループディスカッションやインタラクティブな内容を増やしていきたいです。オンデマンドですと、受講生の表情を見て話すことができないので、反応がわからないんですよ。分かっているのか、何か質問があるのかも、後から提出されるリアクション課題や直接メッセージで来る質問を見ないとわからない。秋学期は、もう少しその部分を改善したいです。
 また、春学期はWi-Fiの接続やセキュリティへの懸念もありましたが、教員も学生もだいぶ慣れてきたと思いますし、課題も理解できてきたので、秋学期はそうした対応もしていきたいと思います。

――学生にメッセージをお願いします。
 秋学期も一部を除いてオンライン授業ですが、オンラインでも授業の質はしっかりと維持しますので、学生の皆さんも引き続きがんばってください。感染拡大が収束して、皆さんとまたキャンパスでお目にかかる日を楽しみにしています。



まとめ
先生方へのインタビュー、いかがでしたか? 私自身、学生のみならず、先生方も様々な思いを抱え、苦心しながら真剣に講義を作ってくださっていたことを知り、秋学期もますます頑張らねばと考えさせられました。
まだまだ我慢しなければならないことは多くありますが、前向きに学んでいきたいですね。

最後になりましたが、本当にお忙しい中ご協力いただいた杉本先生、上野先生、本当にありがとうございました!

それでは!