#009 夢と希望のキャンパスツアー

大学生くらいにもなると、若さが眩しく、力強く、そして羨ましくなってくるもの。かつてあれほど夢見ていた「大人になること」とは、かくも様々なものを失うことによって手に入れるものなのかと思うわけです。

 

時としてそれを、メインストリートで感じる時があります。視界に入る上智大学の景色全てに初めての色合いを感じ、来るべき大学生活への期待を膨らませる制服姿の少年少女。我々はもうその若さを、制服ディズニーなどという虚構でしか取り戻すことができない。目を覆いたくなるような現実に、打ち付けにも上智大学内で直面させられる罪深きイベント。それがキャンパスツアーです。

 

しかしながら、おそらく高校生の方々にとってみれば、このキャンパスツアーというイベントは大変実りの多いイベントでありましょう。私などは、高校在学時にそのようなイベントに参加したことは一切ありませんでしたから、入学からしばらくの間は、高校との余りの環境の違いに戸惑ってばかりでした。それこそ「当たり前じゃねぇからな… 当たり前じゃねぇからなこの状況…」ってずっと言ってるくらい。

 

結局は何もかも、キャンパスツアーにさえ参加していれば最初から上智大学での順風満帆なキャリアを過ごすことができたはず。そんなキャンパスツアーでは何をやって、上智大学のどんな部分が紹介されているのか。これは大変気になる。上智大学の見学を希望する非常に先見の明がある高校のみなさんは、いったい何を自らの高校に持ち帰っているのか。

 

これを調査するために、11月下旬に行われた桐朋女子高等学校2年生のみなさんのキャンパスツアーに同行し、我々も高校生に戻ったつもりで上智大学の中を回ってきました。

午後2時半、とても寒く、ちょっと雨も降っているという比較的悪いコンディションの中、「ノース北門」こと北門に桐朋女子の皆さんが到着されます。ツアーを取り仕切る上智の職員の方と、ツアーガイドを務めてくれる3人の学生、そして空気同然の尾行を試みようとしていた我々に対してまで、代表の生徒の方が「今日は1日よろしくお願いします」という挨拶をしてくれました。若者の純粋な善意は、無機質なセーターを10枚重ね着した時の100倍の温もりをくれます。

3つのグループは順路こそ違うものの最終的には同じ場所を見学するということで、我々も早速1つのグループに同行。まずは6号館の方に向かうと、まだ「大学1年生」の綺麗な建物を見て、早くも漏れ聞こえてきた「すごい…」の声。ここを最初にして大丈夫なのかという不安も抱きつつ、3Fの通路を通って2号館に向かいます。 

何が凄いって、ツアーガイドの学生の説明です。1箇所につき1ネタは必ず持っている上に、我々でさえ知らないような歴史にまで言及しているんですから。話す方も話す方なら聞く方も聞く方で、まるで太陽のような笑顔でその話を聞いていました。これを目にした瞬間、私はこれまで自分が育んできた生き方・考え方を猛烈に悔い改め、何食わぬ顔で女子高生の隣に居座り話を聞こうとする試みを断念しました。

その後は正門を通りグラウンドへ。予想外の行き先でしたが、確かに都内の一等地ということを考えれば、これだけの運動スペースを確保しているのは特筆すべきこと。再び正門を通過し次は体育館、10号館と紹介が続きます。時計の針は3時を回り、授業を終えた学生たちとの遭遇の時間。そして物語はクライマックスへ、最後の舞台である図書館に全員で入っていくわけです。

図書館1FのAVコーナーとか、ラーニングコモンズの中の学習支援席とか、またしても私の方が勉強させられる時間が続いた中で、最終的には3つのグループが図書館9Fで合流。全員が揃ってのパネルトークが始まります。

ツアーガイドを務めてくれた内の2人が、司会の上智の職員の方との質疑応答形式で、「高校1,2年の時にやっておくべきこと」「高校と大学の違い」「上智のここが好き」「行事の紹介」などを教えてくれるんです。最後に2人が高校生への応援メッセージを送ると、桐朋女子のみなさんからもお礼の挨拶をしてくれました。思いやりと思いやりの交錯、上智大学にコリジョンルールは未来永劫存在しません。

若干の蛇足感はありましたが、最後に我々からも質問をしました。三田に行くかここに来るかの2択で上智を選んだという彼女たちですが、1年後に上智を受験しようと考えている人の割合を聞くと、16人中5人という数字。後でその理由を聞くと、「絶対にイスパがやりたい(イスパか総グロ)」とか、「体験授業が楽しかった(国関)」とかの上智っぽい理由がある一方で、「昔受けた公民の授業が楽しかった(経済か経営)」や、「先生になりたい(教育)」など、一見上智じゃなくてもいいような理由もありました。でも次の質問が、唯一無二と言ってもいい、受験生を惹きつける上智のストロングポイントを再確認させてくれます。

「今日実際に来てみて、想像と違った部分は?」と聞いたところ、まず出てきたのが「グローバル化が進んでいた」という答えでした。前回の記事でも述べたように、世間からグローバルという文脈で語られまくる上智大学ですが、彼女たちにとってはそのイメージをも上回る「グローバル化」っぷりだったそうです。

学科で勉強する内容と同等以上に大切なのが大学の雰囲気。それを知る上では、8月のオープンキャンパスと比較してもより実用的な機会だと感じました。何よりも大きいのは、見学時間と授業間の休み時間が被っていたことで、まさに生でしかない大学の雰囲気を味わえたこと。どの学校もそういった時間割になっているのかはわかりませんが、私がもし本当に高校生の立場だったら、大学生活への期待は益々広がる一方だったと思います。

先に、上智じゃなくてもよさそうな理由で入学を希望してくれた人は、やはりこの点で上智に魅力を感じてくれているそう。「身近なところに外国人の学生がいっぱいいた」、「紅葉がすごかった」などの感想は、実際に上智に来なければわからなかったことでしょう。また「学生が楽しそうだった」「最後のメッセージが心に響いた」など、ツアーガイドの学生たちの好リードも、上智に良い印象を持ってくれる一因になったようです。

1時間半という短い時間ではありましたが、我々にとっても上智のことを再発見することができ、また高校生のみんなから元気を貰うことができました。貴重な時間をありがとうございました!


※キャンパスツアーガイドは毎年4月に募集がかかります。興味のある方はぜひ応募してみてください!

 

ライター

新聞太郎

写真

エイミー